ロッツ株式会社「訪問・通所型リハビリステーションの運営」

陸前高田市の復興と、せっかく助かった命を健康にするために、日本初の訪問型リハビリを実行し、誰もが集えるリハビリ特化型デイサービス & フィットネスを運営。

ロッツ株式会社
代表取締役社長 富山泰庸

支援プロジェクトの概要医療福祉支援

陸前高田市のまちを元気にするため、日本初の単独型訪問リハビリステーション「さんぽ」を 2012 年 5 月から開始。 2017 年 4 月からリハビリ特化型デイサービス & フィットネス「リボーン」を陸前高田駅前の大型商業施設「アバッセ」内にオープン。要支援者・要介護者だけでなく、健常者も一緒に汗を流せて介護予防につながる施設づくりを目指し、市の将来的な財政悪化を防ぎ、子どもたちが夢を見られるまちづくりを目指す。

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  • Q1プロジェクトの概要を教えてください。

    陸前高田市のまちを元気にするため、日本初の単独型訪問リハビリステーション「さんぽ」を 2012 年 5 月から開始。 2017 年 4 月からリハビリ特化型デイサービス & フィットネス「リボーン」を陸前高田駅前の大型商業施設「アバッセ」内にオープン。要支援者・要介護者だけでなく、健常者も一緒に汗を流せて介護予防につながる施設づくりを目指し、市の将来的な財政悪化を防ぎ、子どもたちが夢を見られるまちづくりを目指す。

  • Q2プロジェクトの始まった経緯や、なぜ始めたかを教えてください

    震災直後、富山が友人・知人に声をかけ、物資支援を始めた。瞬く間に協力者が増え、 2011 年 3 月末には 100 名を超えるボランティアの集団になり、物資支援やボランティア派遣などの活動をしてきた。
    その中で、薬剤師のボランティアから「薬不足を解消しなければならない」と提案があり、災害救助法に則って東京から薬を運び、避難所や集落を回って投薬をしていた。ただ、住民が避難所から仮設住宅に移り住むときに災害救助法が切れることになり、これまでの方法では合法的に投薬できないことがわかった。
    そうした中、県立高田病院の院長から「薬剤師がいるなら薬局をつくってほしい」と言われ、薬局を開設することにした。スピード重視で最初は個人事業で登記し、同年 7 月にオープン、 8 月に法人設立の認可を取得した。

  • Q3その後、事業(支援)が拡大していくわけですね

    避難所から仮設住宅に移る際、コミュニティの喪失が社会的な課題になっており、また沿岸部では要支援者・要介護者が他の地域よりも急増していた。各家庭を訪問し、リハビリや運動の必要性を説かなければならなかった。
    そこで、復興特区を活用し、認可第 1 号として 2012 年 5 月に単独型訪問リハビリステーションを開設。陸前高田や大船渡の気仙地域で初めての在宅の訪問リハビリを実施してきた。特区の活用に関しては、市は基本的に受け身の姿勢だったので、交渉は比較的苦労なく進めることができた。
    次第に、家の環境だけではリハビリできる内容が限られるため、通所型の施設で機材を使ったリハビリが必要と考えるようになった。要支援者や要介護者をこれ以上増やさないようにするためにも、健常者の方々もターゲットにして、リハビリ特化型デイサービスと健常者用のフィットネスクラブを一体化させた施設を 2017 年 4 月にオープンさせた。
    地域の方々の介護度悪化を防ぐだけでなく、介護度の回復、そして健常者の介護予防を実践し、将来の子どもたちが負担する社会福祉の税金を少しでも軽減できるように取り組んでいる。

  • Q4もともと医療や介護の知識・経験はあったのでしょうか

    医療・介護従事者ではないが、震災発生の約 7 年前から若者を集めて「日本の将来」をテーマとした勉強会を重ねていた。医療・介護費用の削減は重要なテーマだったので、その仕組みや課題などについては理解していた。この地域から新しい医療・介護の仕組みが実現できればという思いがあったのも、事業化に踏み切った理由の 1 つだ。

  • Q5このプロジェクトの企画・立ち上げで工夫されたことについて教えてください

    すべての被災者が自立し、健康的な生活を取り戻すことを目的にスタートした。こうしてまず会社理念を明確にしたうえで、利用者の回復や介護予防を重点に置いた「利用者中心」の運営を掲げた。 
    現在の介護保険制度は、事業者の都合によって本来なら不必要なサービスを利用者に提供し続ける癖があったり、家族の都合で必要のない介護サービスを求められることがある。私たちはあくまで「利用者の健康回復」に重点を置き、リハビリから「卒業」させることを目標としている。
    また、「被災地復興につながるかどうか」を事業遂行の指針にするという理念の下、①せっかく助かった命を健康にできるか ②被災者を 1 人でも多く雇用できるか、の 2 点を事業理念として掲げた。 
    一方、予算に関しては最初の資金繰りが大変だった。訪問リハビリに関しては当初、人件費が捻出できなかった。知人や兄弟から借り、その後銀行融資で何とか軌道に乗せることができた。他に、助成金も数多く活用した。
    通所型リハビリ施設の開設に関しては、機材を揃えたり、内装工事を行ったりするため多額の先行投資がかかる。現在、金融機関に融資を申し込んでいるが、それと同時に(インターネットで寄付を募る)「クラウドファンディング」も活用した。

  • Q6立ち上がったプロジェクトを進めていくために具体的に行ったことを教えてください

    被災地域では理学療法士や作業療法士と言われる国家資格をもつ方々が少なかったため、療法士たちを広く全国から公募し、採用活動をした。 SNS や人材紹介会社への寄稿、文化放送(ラジオ)で呼びかけたりと、できることはすべて実行した。岩手県内だけの募集では今いる 10 名の療法士は採用できなかっただろう。「オール・ジャパン」でメンバーを構成している。
    また、そもそも被災前の市には療法士が7名にしかおらず、地域の医療・介護の仕組みに「リハビリ」という概念が存在していなかった。そのため、地域の理解を深めるために継続的に医療・介護従事者向けにリハビリの研修を行っている。
    主にケアマネージャーを対象に 3 カ月に 1 回行い、リハビリの有効性などを理解してもらった。これによって利用者が格段に増加し、地域の理解度も増してきた。
    また、実際にリハビリによって身体能力が回復した利用者たちを目の当たりにし、さらに利用者が増加するという好循環が生まれている。

  • Q7プロジェクトの成果・課題について教えてください

    訪問リハビリの成果としては、利用者の 7 割に身体能力の回復が見られている点だ。当初掲げていた要支援度あるいは要介護度の悪化を防ぐことができている。しかし、訪問型は「 1 対 1 」のため効率が悪く、施設型で「 1 対複数」のリハビリができる環境を現在、整備している。健常者もフィットネスジムとして使用できるので、市に現在は存在しない運動施設として、多くの方々に利用してもらいたい。 
    課題としては、事業として損益分岐点を早く突破させることだ。需要の高さには手応えがあるのでいずれ突破すると思うが、資金繰りが継続的にできるわけではないので、時間をいかに短縮して損益分岐まで到達させるかが課題だ。そのためには、リハビリの理解促進や広報戦略を打ち立てることが必要になる。
    まだ市役所自体に要支援や要介護の認定を行える人員がおらず、本来受けられるサービスを受けることができない人たちが多く存在する。市に対しては、地域がすべての対象者にケアプランを作成できる体制を構築してもらえるよう促していく。また、大船渡など近隣自治体の利用者を確保していくことも検討する。ポスティングなど地道な広報活動も重要だろう。

  • Q8成果や課題を踏まえ今後の展望について教えてください

    在宅医療・介護、訪問型リハビリを推進し、多くの方々の身体能力の改善を見てきたが、地域の高齢化率は高まるばかりで、私たちだけでは到底太刀打ちできない人数が要支援者・要介護者になっていく。これらの財政を負担するのは、将来の子どもたちだ。若い世代が夢を持ったり、地元に残れるような魅力的な子育て・雇用環境を提供しなければならないと痛切に感じている。
    そうしたまちづくりという観点で、企業がどのように関わっていけるか。今行っている訪問リハビリと、リハビリ特化型デイサービス &フィットネスの 2 つの事業が軌道に乗れば、この事業モデルに共感してくれる同志が増え、全国に波及できると信じている。
    全国規模で店舗展開ができれば、陸前高田や大船渡の方々もわが町に誇りを持てるようになるだろう。そのためにも、日本全国に展開できるようになることが大きな目標だ。

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