被災地域の企業や海外ブランドとのコラボレーションが実現した。例えば、アイリスオーヤマとは同社が町内で精米した米と FUGURO を組み合わせたギフトセットを販売したほか、スイスの高級時計ブランドであるジラール・ペルゴとは、以前イベントで知り合ったことをきっかけに 2 度にわたり特別パッケージに採用頂くことができた。
また、メディアでの露出や引地の講演行脚なども認知度アップに相乗効果をもたらしている。メディアはテレビや新聞、雑誌、ラジオなど多岐にわたり、講演も県内を中心に、東京や海外での実績もある。売上げは毎年増え続けており、 5 年累計で約 8,000 万円( 2016 年度見込み含む)に達する。材料の仕入れや商品の運送などは町内業者に委託しており、小さいながらも地域経済を活性化させることに貢献できている。
当初は「どうせ復興グッズだろう」と品質や事業の継続性を危ぶむ声に晒されながらも、女性たちが一丸となって地道に取り組み続けてきた結果だ。 2016 年 8 月には、 FUGURO が宮城県知事の海外訪問の際の土産品にも採用された。創業から短期間で宮城を代表する工芸品としての地位を確立するに至ったことは、大きな自信となっている。
一方で、手頃な価格のハンドメイド商品であることに課題を抱えはじめてもいる。量産できないため、類似品との価格競合にさらされやすいからだ。また、縫製の前段階の生地の選別や洗濯、アイロンがけなどの工程に人的コストがかかることも悩みだ。消費者に伝わりにくい部分なので、価格に転嫁しにくい事情がある。