株式会社日立製作所「釜石市唐丹町での地域活性プロジェクト」

釜石市唐丹町で地域の皆様と連携しながら当社の本業である IT を活用したまちの活性化を進めている。

株式会社日立製作所
ICT 事業統括本部 CSR 部 部長増田 典生

支援プロジェクトの概要コミュニティ支援

期間:2013 年 5 月~現在も継続中 
地域:岩手県釜石市唐丹町 
目的:地域活性 
内容:漁協様の HP 構築、水産加工会社様の業務システム改修・プレゼン支援など

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  • Q1プロジェクトの概要を教えてください

    期間:2013 年 5 月~現在も継続中 
    地域:岩手県釜石市唐丹町 
    目的:地域活性 
    内容:漁協様の HP 構築、水産加工会社様の業務システム改修・プレゼン支援など

  • Q2プロジェクトはどのように始まりましたか

    2012 年に一般社団法人新興事業創出機構( JEBDA )様より釜石市をご紹介頂いたのがきっかけである。当時は震災後まだ 1 年半しか経過していなかったが、当社の本業である IT を活用した復興支援ニーズが多くあることを知った。まずは何度も現地へ伺い、最初は当社ができることを伝えるのではなく、現地の皆様のお話を伺い、関係構築することから始めた。数か月そうした関係構築の期間を経て、徐々に現地の方の本音やニーズを知ることができた。そうした期間を経たのちに、当社ができることを提案した。


    最初に見えた IT の復興支援ニーズは、Web での情報発信、水産加工業様の業務システムの効率化、仮設住宅での生活支援(ヘルスケア、コミュニティ構築支援など)であった。


    最初に現地とのコミュニケーションをリードしたのは、当社では、増田、現地の方としては、当時の唐丹公民館長の見世様や釜援隊の山口政義様に大変よくして頂きました。また協業している JEBDA の鷹野理事長、フェローの柴田様にも現地とのブリッジ役としてリード頂いた。

  • Q3このプロジェクトの企画・立ち上げで工夫されたことについて教えてください

    大きな目的は「唐丹町全体の活性化」とした。そのために「コミュニティ活性×産業活性」を進めることにした。具体的にはコミュニティ活性として、漁協様の HP 構築を進めた。これは、漁協様は HP を単なる漁業の情報発信に留めるのではなく、地域の情報発信のハブにしたいとの想いがあったためである。また、現地に唯一存在している水産加工会社様の業務システムの改修を進めることで、産業活性を加速することにした。立ち上げにあたっては、社内関連部署の調整、社内説明会の実施などを経て、社員のプロボノ活動としてスタートした。

  • Q4プロジェクトにおいて御社としての目的や目指しているものは何か教えてください

    大きくは当社が掲げている「社会イノベーション」の実現である。当社は B2S ( Business to Society )企業であると考えており、本業である ICT を活かした社会課題の解決が企業理念でもあり CSR の目的だと考えている。
    被災地の復興は、現在の日本の大きな社会課題のひとつであり、これに本業である ICT を活かした活動をすることは企業理念、CSR に完全に合致する活動だと考えている。

  • Q5大きな目的やテーマはどのような議論の末に決まりましたか

    活動の意義・位置づけは上述の通りで、これは企業理念から来ており、特に議論や混乱はなかった。大きな目的「唐丹町全体の活性化」は、現地に何度も足を運び、多くの現地のステークホルダーの皆様のお話を伺う中で決定した。

  • Q6立ち上がったプロジェクトを進めていくために具体的に行ったことを教えてください

    2013 年 3 月に釜石の方をお招きし社内説明会を開催したのが、実質的なプロジェクト開始になった。説明会には 100 名以上の社員が参加してくれ、支援活動をしたいという社員も 50 名以上いた。手を挙げた社員から専門性や志望動機などを勘案し、10 名程度選抜してチーム編成した。活動は就業時間外を利用したプロボノベースである。メンバーの上司にも主旨を説明しコンセンサスを得た。また現地への旅費や開発環境機材などは CSR 部が負担し、個人や所属する組織に負担がかからないように配慮した。手をあげた社員には、企業理念に沿った活動であること、自分たちの専門能力である ICT を活かして社会貢献ができることがササったのだと思う。

  • Q7どのような目標(定性、定量)を設定しましたか

    ①唐丹町の皆様に喜んでいただける活動をする。②支援する側される側ではなく共に同じ課題に目的に向かって伴走することを大切にしようと考えた。それ以外には特に定性・定量的な目標はあえて設定していない。なぜなら、活動は数年にわたる長期戦になると考えており、(実際そうなっているが)、当地の状況も刻々と変わっていくからである。変化に柔軟に対応したいと考えていた。

  • Q8プロボノ社員の人事評価はどのようにしましたか

    人事評価に直接つながる(加点評価項目がある)わけではない。ただ、社員の活動を、社内 Web サイトや様々な CSR 関連イベントの中で、できるだけ紹介した。その結果、彼らの上長からの評価も上がった。また、日立グループがグローバル 33 万人を対象とした、日立ブランド向上に寄与した活動を表彰する制度が年に 1 回あるが、この制度で、日本地域での審査員特別表彰を頂いた。直接事業に関係のない CSR 活動が表彰を受けたのは、これが日立グループ世界でも初めてだった。

  • Q9HP 構築および業務システム改善における、先方の課題と実施した内容を教えてください

    取扱商品や保有する先進技術、新しい取組み内容などを紹介したいとの要望にホームページ構築を通し応えようと考えた。


    現在 Excel で管理している、生産/在庫/販売管理システムをもっと効率化したい。出先からも経営データを直ぐに確認できるようにしたい。といった課題に対し、業務システム改善を通し業務効率化をめざしていった。

  • Q10業務を行うにあたり先方とのコミュニケーションでどのようなことに留意しましたか

    共に同じ目的に向かって伴走する姿勢です。支援する側される側という感覚は我々には全くありません。我々は釜石のつながり人口の一員だと考えている。

  • Q11プロジェクトの運営管理においてはどのような仕組みをつくりましたか

    月 1 回、活動メンバーで定例会を実施。また釜石訪問前後でも事前打ち合わせと事後報告共有の場を持っている。活動して 4 年になるがこの定例会(皆さんお忙しいので、就業時間後 19:00 ~ 21:00 過ぎぐらいにいつもなるが)は今も続いている。

  • Q12予算はどのように確保しましたか、また可能であれば額も教えてください

    大きな予算はない。出金として釜石現地への旅費程度。これは、活動メンバーの部門が負担するのではなく、CSR 部が負担している。おおよそ年間 100 万円程度。その他には、開発用機器や打ち合わせ会議室の手配などを必要に応じて CSR 部が行っている。

  • Q13プロジェクトの成果・課題について教えてください

    釜石市長様、漁協組合長様から感謝メッセージを頂戴した。漁協 HP 構築や水産加工会社の業務システム改修によりそれぞれの業務効率向上とコミュニティ/産業活性に貢献できたと考えている。また、当社ではグローバルでの日立グループの価値向上に寄与した取り組みを表彰する制度があり、本プロジェクトが日本その他地域で賞を頂いた。このことが当社内でのプロジェクトや釜石の認知向上に大きく寄与した。社内的には、中長期視点で地域活性・創生に取り組むことの重要性、社会価値と経済価値の両立を図ることが企業のサステナビリティを実現するうえでも大切であることへの理解浸透が進んでいる。

  • Q14時間が経過するにしたがっての何か先方との関係や進め方に変化はありましたか

    時間の経過とともに、漁協様や現地のステークホルダーの皆様との関係が深まっていったのを実感している。唐丹町は 2000 人足らずの小さな漁村である。当地の最大の実力者は、お寺のご住職と漁協の組合長だったが、ご住職とは携帯の番号を知りあう中で、唐丹を訪問した際にはほぼ毎回、電話がかかってきて飲みに誘われる。私は東京の人間ですが、現地の一員でもあると感じている。

  • Q15業務を推進する上で難しかったことはありましたか。もしあった場合、どのような手を打ちましたか

    メンバーはプロボノベースの活動のため、業務多忙時には活動が停滞することもある。そうした時には無理をせず、進捗が遅れる旨の連絡を現地に伝え、ご理解を頂いている(こうしたセンシティブな交渉は、CSR 部が対応)会社の看板を背負った活動ではあるが、彼ら活動メンバーの本業に支障がないように、肉体的・精神的負荷が増すことがないように事務局としては心配りしている。

  • Q16参加した社員の方の成長や変化はありましたでしょうか。

    活動から 4 年たった今でもモチベーションは高いままである。とても熱意をもって取り組んでくれている。また会社がこうした社会貢献度の高い活動を積極的に進めている、そうした活動に参加できる機会を提供してくれているといった意識が、彼らの会社への帰属意識・会社への満足度の向上に大いに貢献している。

  • Q17成果や課題を踏まえ今後の展望について教えてください

    釜石で当社の本業を活かした地域創生活動を、当地のステークホルダーの皆様と協働しながらこれからも進める。地域創生は、今の日本の大きな社会課題である。当社は「社会イノベーション事業」を推進している B2S( Business to Society )企業である。そうした当社の企業としての進む道・あり方を考えると、地域創生に取り組むことは当然の帰結になる。地域創生、地域課題解決に向けて提供できるリソースも多くあるので、それらを組み合わせて、地域の皆様と協働しながら、活動を継続する。

  • Q18釜石での活動は期間に定めはありますか

    これまでの活動を釜石市様でご評価いただき、2016 年 6 月に釜石市と当社は地域活性に向けた取り組みを協働して行う旨の協定を締結した。事業協定ではなく、こうした長期視点、CSR / CSV 視点での協定締結は当社としては初めてのことである。協定は毎年見直すが、特に双方異論なければ自動的に継続される。

    釜石市様リリース:
    http://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/keikaku_torikumi/chihousousei/detail/1202049_3278.html

    日立リリース:
    http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2016/06/0614.html

  • Q19今後はどのような目標を設定されていますか

    今後も釜石の地域活性向け、ICT を活かした活動を進めまる。すでに取り組んでいる活動以外には、小中学校の学校教育支援(情報の利活用のしかたを教える教育で、首都圏ではかなりの実施実績がある)、コミュニティ活性化支援、地域包括ケアなどについて取り組めればと考えている。

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